テクノロジーの進化を振り返ると、およそ10年ごとに新しい技術によるさらなる発展をもたらしていると言えます。1970年代は、キャラクターモードでコンピューターを使用し、複雑なコマンドを緑色の画面に入力していました。
その後グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)の大きな進歩により、コンピューターサイエンスを理解していないユーザーでも、コンピュータをより簡単に使えるようになりました。そして新たにモバイルデバイスの規格に準拠した、簡素化されたインターフェースがもとめられ、クラウドコンピューティングや位置情報などの新しいテクノロジーを活用することで、ナビゲーションやクリック数を減らすことができ、様々なタスクを実行することができるようになりました。
そして今、 ボイス(音声)を使ってコンピューターとのインタラクションを可能にした、ボイスユーザーインターフェース(VUI)が発達し、そのVUIと様々なデバイスとを繋ぐスマートアシスタントにより、これまでにない高度なタスクの実行が可能になりました。

またさらに改善を重ねることにより、より多くのユーザーが難しさを感じることなく、よりシンプルで直感的なインタラクションを可能にしました。その技術が、特にコマース(商取引)の世界において、ユーザーの行動と期待の変化をもたらしました。 キッチンでペーパータオルが無くなった時、ペーパータオルを購入するようにAlexaデバイスに話しかける、これこそがまさに新しい利便性の基準となります。

これは大きな変曲点であり、一時的な流行ではありません。私たちは今、コマースの第3の時代に入ろうとしています。各社のCIOは自社がこれらの新しい期待に対応できるように準備を進める必要があります。ほとんど忘れられていることですが、インターネットのことを一時的な流行と呼び、スマートフォンは電話の役目も果たせないガジェットと言う人がいた時代もありました。アーリーアダプターは毎回、テクノロジーに機会を見出し、それに備え、一歩先を進んでいきました。「今すぐ」投資する理由がないと感じた人々は、後々追いつくために大きな努力を払う必要に迫られたのです。

消費者はVUI対応のデバイスを急速なペースで購入しています。ここ数年で何千万ものAlexa対応デバイスが販売されました。大手自動車メーカーはすべて新車にVUIを組み込んでいます。腕時計、テレビ、サーモスタット、そして幅広い家電製品がスマートアシスタントに接続されています。
つまり、VUIへの対応は早過ぎる投資ではありません。10年前には携帯電話で銀行取引を行うことを誰もが躊躇していたことを思い起こしてください。今日では、米国の成人の半数近くが銀行取引にスマートフォンを使用しています。1 スマートアシスタントの採用曲線も同様です。スマートフォンの使用率がアプリストアとともに急増したのと同じように、ますます多くのスキルが利用できるようになるにつれてボイスコマースも急増することになります。すでに数万のAlexaスキルが存在しています。日常的に使う言語こそ、真のコネクテッドコマース体験の最前線にあるのです。

以下は、すべての企業が将来を見据えて検討する必要がある3つの傾向です。

アンビエントコンピューティング  

アンビエントまたはユビキタスコンピューティングは、デバイスの種類にかかわらず対話できるようになるというビジョンをサポートします。音声は、デバイスのロック解除、アプリの起動、パスワードやURLの入力などの操作から消費者を解放する、重要な起点となります。希望の商品を再注文する方法を尋ねるだけでなく、Alexaデバイスに話しかけるだけでお気に入りの曲やニュース番組を再生したり、アラームやタイマーを設定するなどの操作の実行がすでに可能になっています。

たとえば、編み物ショップで毛糸を購入する時にAmazon Payを使って決済した場合、その決済履歴があなたのアカウントに記録されます。自宅で編み物中に作りかけの作品を完成するために毛糸がもっと必要であることに気付いた時、編み物の手を休めることなく、Alexaデバイスに話しかけるだけで同じ毛糸を再注文して配達してもらうことができる。そんな時代が間もなくやってきます。

ボイスコマースは、特定のチャネルへの依存が排除されたときに真の意味で到来することになります。デジタルサービスは広く普及し、どこからでもアクセスできるようになるのです。企業はこのような経験を実現する方法を考える必要があります。 

瞬時にエンゲージメントを強める

アンビエントコンピューティングに結び付けられたボイスユーザーインターフェイスの長所は、思いついた瞬間に行動を起こせることです。 毎週の買い物リストにレモンを追加する、あるいはニュースを見ながら自然災害の影響を受けた人々を支援するために寄付をするなどです。音声は携帯やウェブに代わるものではありません。これはまったく新しいエンゲージメント方法です。

音声デバイスを最初に使用する場合、パソコンや携帯電話を使用するときのように参照できるビジュアルがありません。情報は会話形式で提示する必要があります。スクリプトの作成はナビゲーションデザインに代わるものです。明確化のための質問がメニューの代わりとなります。VUIは、一連のプロンプトやフォームの記入でユーザーをガイドするのではなく、幅広い目的に即応して、相互に望ましい結果にカスタマーを効率的に導く必要があります。

あなたが提供する商品やサービスが、さまざまな状況でのエンゲージメントにどのように役立つ可能性があるかを考えてください。必ずしも商業的な取引である必要はありません。たとえば、Tide(洗剤ブランド)はAlexaに汚れの除去方法を尋ねることができるスキルを開発しました。どのような汚れなのかをAlexaがユーザーに尋ね、それに対するユーザーの答えに基づいて適切な指示を提供します。ユーザーがそれを読む必要がある場合はAlexaアプリにも送られます。

シンプルなUX、高度なAI 

ブラウザ、アプリ、またはデバイスを使用するのとは異なり、VUIを使用しているカスタマーの学習曲線は非常に速くなっています。これは会話のやり取りであり、近隣の商店に商品を注文したり、友人に作業の手助けを依頼していたシンプルな日々に私たちを連れ戻すものです。

自然な発話による多くのコミュニケーションには、最も高度なAIと機械学習が必要です。そのためクリーンで良質なデータと技術的ノウハウの重要性が高まっています。何十年もにわたる顧客の購買データと強力なクラウドコンピューティングは、当社の自然言語理解のイノベーションの中核をなすものです。当社はあらゆる業界のあらゆる規模の企業と協力して、彼らのデータと技術に関する当社の専門知識を活用するために積極的に協業しています。スマートアシスタントの採用が増えるにつれて、機械が学習できるデータの量がさらに増え、音声体験はこれまで以上に直感的で有用で、かつ楽しいものになるのです。  

音声は、人々が技術と接する方法をすでに根本的に向上させ、人々が検索したり購入したりする方法を再定義し、そしてユーザーの期待を再び変えています。それは新しい機会に満ちた創造的な破壊なのです。

その機会を生かすためには、企業は将来に向けた学習、テスト、そして構築を今すぐに開始する必要があります。各社のCIOは、この極めて重要な時期に自社において教育および指導する上で重要な役割を担っており、デバイスに関係なく顧客とつながるための適切なソリューションを特定し、楽しい体験を生み出すためのチームと方法を構築しなくてはいけません。

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1, 出典:eMarketer、2018年4月予測:2019年には米国在住の18歳以上の46.3%が銀行取引にスマートフォンを使用すると推定されています(2018年の44.1%からさらに増加)