「Amazon Pay」導入、半年後に決済全体の約2割を占める
「Safari Lounge」は雑誌連動のため、多くの読者がECサイトに訪問する。だが、従来の「Safari Lounge」は会員登録をしなければ商品を購入できない、いわゆる“ゲスト購入”ができない仕様だった。そこで、2019年にフルスクラッチ開発で完全リニューアル。
ゲスト購入機能を追加し、その機能との親和性の高さを見込んで、Amazonが提供するID決済「Amazon Pay」を導入した。ゲスト購入機能と「AmazonPay」の導入から1年後には、新規顧客の購入件数が1.5倍に増加し、それに応じて「Safari Lounge」全体の売り上げも底上げされた。和田氏は「『Amazon Pay』の効果は、当初の想定を大幅に上回るインパクトがあった」と振り返る。
和田氏(以下、敬称略):「Amazon Pay」はさまざまな ECサイトで導入されているため、使い慣れたお客さまも多く、簡素化された購入フローでスムーズに利用いただいているのだと感じる。クレジットカード決済より「Amazon Pay」は多少手数料が高いものの、新規顧客の獲得に大きく寄与している。そのため増益につながっており、今の「Safari Lounge」にとっては、手数料よりも新規顧客の獲得、増益のメリットの方が大きい。
新規顧客だけでなく、既存会員による「Amazon Pay」の利用も加速。それまではクレジットカード決済比率が約60%と最も多かったが、導入から半年後にはクレジットカード比率がやや落ちる形で、「Amazon Pay」が約20%を占める状況となった。「Safari Lounge」の年間の平均購入単価は2万5000円~3万円程度で、アウターが売れる秋冬は5万円程度まで上昇する。リニューアル前はクレジットカード決済、代金引換、キャリア決済をラインアップしていたが、「高額な買い物のため、与信が必要な決済手段が少なかったことは、今考えると課題だったのかもしれない」と和田氏は回想。「Amazon Pay」の導入が決済手段の拡充、および高額単価商品の購入に役立っていると見ている。
「Amazon Pay」の新機能を積極導入で、新規顧客の「Safari」のファン化などを後押し
ECサイトに好影響をもたらす「Amazon Pay」の導入効果を実感した「Safari Lounge」では、「Amazon Pay」に登場する新機能を積極的に導入・実装する方針を採用している。
1.「Dynamic Authorization」の導入(同期オーソリから非同期オーソリで処理できる機能)
通常、「Amazon Pay」の与信は30秒で処理が完了しなかった場合にタイムアウトとなる。AmazonのECでは日用品などの数千円単位の買い物が多いため、「Safari Lounge」で取り扱っているような高額商品や、家電やブランド品などの換金性の高い商品を注文した場合には、異常行動と判断されやすくタイムアウトになってしまうケースがある。
「Dynamic Authorization」を導入により、本来通るはずの与信がタイムアウトとなって注文をロスするといった事態を事前に防止。従来は3.5%の注文がタイムアウトしていたが、「Dynamic Authorization」を導入して以降、注文タイムアウトが 0件となった。
和田:「Amazon Pay」は、「Safari Lounge」が最近力を入れている数十万円の価格帯のスタイリッシュなeバイク(電動アシスト付き自転車)との相乗効果も高い。受注生産のeバイクを買うお客さまの8割は「Amazon Pay」で決済しており、なおかつ新規のお客さまからの購入が多いため、タイムアウトによるロスがなくスムーズに購入していただける点で、「Dynamic Authorization」はとても良い機能だ。
2.再オーソリ機能(再度与信を取り直すことで、与信期間を延長する機能)
「Amazon Pay」の通常の与信保持期間は30日。再オーソリ機能を実装すれば、再度与信を取り直すことにより180日まで延ばすことができ、さらに180日を過ぎる商品を取り扱っている場合には別途設定によって最大13か月まで延長できる。このため、再オーソリ機能は予約限定商品やメーカー発注品などの取りこぼし防止、代金引換による受け取り拒否と送料のリスク回避につながる。
和田:予約商品を毎年用意しているので、そうしたお客さまに対して再オーソリ機能は良い打ち手になった。予約してまで購入するお客さまは 「Safari Lounge」へのロイヤリティが非常に高い。にもかかわらず、これまでは与信が必要とされる決済を提供できず、一部の決済手段しか提案できていなかった。与信保持期間がネックになって決済手段を狭めてしまうほど、もったいないことはない。
3.メール型機能(メールによる再アプローチ機能)
「Safari Lounge」では、商品をカゴに入れたまま購入していないユーザーに対してメールで再アプローチする際、メールの文面に「Amazon Payボタン」を配置し、「Amazon Pay」を利用しているユーザーであればそのまま直接購入できる機能を導入した。
和田:コンバージョンや購入件数を見る限り、日常的に「Amazon Pay」を利用するお客さまにとって、メール型機能は間違いなく効果を発揮している。
4.Web接客型Amazon Pay(「Amazon Pay」の利用を勧めるポップアップ表示機能)
ECサイトで会員登録をせずに購入に進んだユーザーに対して、入力フォーム画面で「Amazon Pay」の利用を勧めるポップアップを表示する機能も搭載。入力フォームでの離脱率低減につなげると同時に、ユーザーの利便性向上を支えている。「Web 接客型Amazon Pay」を導入した2022年6月からの3か月間で、総額約40万円の注文がポップアップ経由で購入完了に至った。
こうした「Amazon Pay」の利便性が、雑誌の読者、「Safari」を定期的に読んでいないユーザー、公式InstagramやWebマガジン「Safari Online」を閲覧して訪問するユーザーのファン化に一役買うと期待している。
和田:ECサイトで商品を買って、フィジカルにその商品を受け取るという行為自体が、人にとってすごく印象に残るアクションになると思っている。媒体を見て興味を持った物を購入し、受け取るまでの全てに「Safari」が携われるという価値は大きい。その際に、初めて「Safari Lounge」を利用するお客さまが「Amazon Pay」でストレスなく購入できるのであれば、「Amazon Pay」がファン化を後押ししてくれていると言えるのではないだろうか。
※株式会社インプレス ネットショップ担当者フォーラム掲載記事(2022年11月30日発行)を再編
※データはすべて株式会社日之出出版自社調査によるものです(2022年11月時点)
(写真:吉田浩章)
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