ECサイトの決済、「『Amazon Pay』を選ぶユーザーは多いと判断」して導入決定
猫専用の首輪型ウェアラブル端末「Catlog(キャトログ)」や、猫用トイレに敷くだけで排泄物の量や回数、体重などを記録する「Catlog Board( キャトログボード)」から得たデータを、飼い主がスマートフォンアプリで見られるサービスを提供しているRABO。「Catlogシリーズ」は、猫の予防医療に貢献する画期的なサービスとして多くの飼い主や獣医師から関心が持たれており、現在およそ2 万匹の猫が利用しているという。 「Amazon Pay」はAmazonアカウントを持つユーザーであれば、住所やクレジットカード情報などを入力する必要なく決済を完了することが可能。「Amazon Pay」を選ぶユーザーは多いだろうと判断し、EC サイトに導入している。RABOは従来からアマゾン ウェブ サービス(AWS)を利用したり、Amazon.co.jpに商品を出品しており、Amazonのサービスに対して厚い信頼を持っていたため、決済においても迷うことなく「Amazon Pay」の導入を決めたという。
「Amazon Pay」は堅固で世界水準のセキュリティレベルをそのまま享受できるのが魅力
自社ECを運用するうちに、クーポンの発行やサブスクリプションの導入など提供サービスの拡充を実現するため、利用していたASP サービスから2022 年に自社開発で柔軟性の高いEC サイトへと刷新。ユーザーが選ぶ決済手段の割合は月ごとに変動はあるものの、およそ半数以上が「Amazon Pay」を選んでいることから、リニューアル後も決済手段はクレジットカード決済と「Amazon Pay」を用意した。
伊豫氏 (以下、敬称略): EC 事業者が自社で決済手段を作り込むことは難しく、特に私たちのようなベンチャー/スタートアップ規模の企業だと、セキュリティ対策の負担も大きくなる。その点、「Amazon Pay」はAmazon の堅固で世界水準のセキュリティレベルをそのまま享受できることが魅力だ。また、Amazonアカウントを持っている人は全国にたくさんいらっしゃるので、「Amazon Pay」は決してアーリーアダプターだけの決済手段ではない。「Catlog シリーズ」がターゲットとする「猫様を家族だと思って大切にしている人」という幅広い層からも、使いやすい決済手段になっている。
サブスクリプションのビジネスモデルにも対応する「Amazon Pay」
「Catlogシリーズ」は、デバイス本体の「Catlog」「Catlog Board」を購入し、猫1匹あたり月額580円のアプリをダウンロードして利用する仕組みとなっている。このほかにも、まずはお試しをしたいユーザー向けに、「Catlog」本体が月額690円で、「Catlog Board」本体が月額750円で一定期間利用できるレンタルプラン(アプリの月額利用料は別途必要)も用意している。こうしたサブスクリプションのビジネスモデルにも、「Amazon Pay」は自動払い機能で対応できる。自動払いは、利用者が初回購入時に以降の支払い方法や配送先が設定できる機能で、次回からはその設定情報を使って事業者側で請求ができるため、ユーザーの手間が省けるようになる。クレジットカード決済でも継続課金や定期支払は可能だが、初回の購入ステップも簡単な「Amazon Pay」がサブスクリプションにも対応しているメリットは大きいようだ。
自社ECの決済はCXに大きな影響、「『Amazon Pay』はお客さまの商品購入を後押しする効果もある」
「Catlogシリーズ」はRABOが提供している複数の販路のなかでも、説明が特に充実している自社ECサイトで購入するユーザーが最も多いという。だからこそ、カスタマーエクスペリエンスに大きな影響を与える自社ECの決済手段を重要視している。「Amazon Pay」の手数料は、一般的なクレジットカード決済と比べて手数料が少し高い印象があるが、それ以上に導入する意味合いは強いと伊豫氏は話す。
伊豫 : 「Amazon Pay」で決済するお客さまは多いので、途中で離脱することなく最後のコンバージョンまで至っていると実感している。「Amazon Pay」はお客さまの商品購入を後押しする効果もある。RABOにとっては機会損失しないためのトリガーになっていると捉えている。
離脱を防ぎ、高いコンバージョンと顧客満足を実現するためには、RABOのように事業者側から率先してユーザーに選ばれる決済手段を導入していくことが必要と言えるだろう。
今後の目標は「獣医療との接続」と「データを生かした新規事業」。グローバル展開も視野に
RABOは今後の取り組みとして、「獣医療との接続」と「データを生かした新規事業」の、大きく2つを掲げている。
RABO が行ったユーザーアンケートによると、「『Catlogシリーズ』がきっかけで泌尿器系のトラブルに気付いた」というユーザーが82%にも達した。
猫の細かな健康管理に役立っていることは明らかで、まずは「Catlogシリーズ」で定量的に猫のデータを取得し、普段の猫の様子や情報が細かく獣医師に接続できるようになる世界を広げていくことがRABOの第一の目標だ。
人の世界でもバイタルデータが商品開発や新サービスに生かされているように、「Catlogシリーズ」で取得したデータを、次の事業に生かしていく目標も立てている。
「Catlog」シリーズに蓄積された行動ログデータや体重・排泄データなどを活用した研究機関「Catlog総合研究所」を2021年に設立した。「猫様の行動、食事、排泄、運動量などのデータを、これほどまでに蓄積している企業は珍しい」と話す伊豫氏。フードやトイレ、保険など、猫の健康に貢献できる商品開発に、「Catlogシリーズ」の膨大なデータが役立つ可能性は無限に広がる。すでに、大手企業とも連携した独自製品の開発に取り掛かっているそうだ。そして、ゆくゆくは「Catlogシリーズ」をグローバル展開したいと意欲を見せている。
伊豫 : 技術的には「Catlog」をほかの生き物にも転用できるが、やはり生き物ごとに特徴も違えば、飼い主のインサイトもまったく違ってくるもの。人間用のモノをほかの動物に転用しても中途半端になってしまうように、その生き物に対してしっかり特化しなければ、プロダクトとして芯を食ったものにならないと思う。製品・サービスとしては今後も「猫様のために」を追求しながら、販路はグローバルに広げていきたいと考えている。そのときは、世界でサービスを提供するAmazon の価値がまた享受できればと期待している。
※株式会社インプレス ネットショップ担当者フォーラム掲載記事(2023年2月22日発行)を再編※データはすべて株式会社RABO自社調査によるものです(2023年2月時点)
(写真:吉田浩章)
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